「甲陽園のリフォーム」

延床:78㎡ マンション2階(専用庭付)

施工:新野工務店

床:ジャトバ、コルクタイル 

壁:珪藻土、エコフリース、Farrow&Ball 

天井:エコフリース

人となり

私、名字が森本なんですが、高校時代に同じ苗字の森本君がいましてその森本君は私のこと変なやつと思っているし私もその森本君を変な奴と思ってまして。
で、辻さんというこの人も変わった人なんですが、三人でいるときにこの二人の森本やったらどっちが変?と聞いたところ、「圧倒的にあんた」と私が言われたことありましてね。
「なんで?」と聞いたら、その森本君は頭がいいから変なふりをしてるだけでほんとは変ではないけどあんたはほんとに変やん?とのことでそうなんや・・・と思ったことありました。

話逸れましたが・・・ここのお客さんは森本君ではないんですけど、ご主人は私のことを変な奴と思ってるし、私もご主人のこと変わった人だなあと思ってます。
この、変わった人だなあと思ってるというのは私の中では最大限の誉め言葉なんですが、すごく素敵な絵を描くので変な人=おもしろい人と思ってます。

と、絵を趣味で描かれるのですが、そのアトリエが家の中にあるというなんとも贅沢なマンションリフォームです。
そうしたアトリエなる場所が家の中にあるのってなんともうらやましいですが、ご夫婦とも絵が好きなのでふたりの空気感がうまれる場所が家の中心にあってその居場所のあり方がなんだかいいなあと思っています。

さて、話をさらに戻すと家づくりにあたって物件選びから声を掛けてくれてましたが、何軒か見に行く中で予算的にはオーバーだけどなんだか気になるマンションがある・・・と見に来たのが今の家でした。
予算のバランスがあるので高いの見つけてきたなあと思いましたが、見に来て玄関をあけてみると庭が広がっておりなんともびっくりしたのを覚えています。

既存がとても素敵なのでこの家にするしかないなとなりましたが、後は予算との闘いになるので蓄積してきたマンションリフォームの技術を総動員してこの質でこの価格?でできていますがこの価格でできるのと思われたら私のこれからの人生が大変になるのでいい塩梅でできてますとだけ見学された人には伝えてます。

この家の特徴としてはなんといっても床がジャトバ(花梨に似た木)でできてるところです。
今お持ちの家具やおふたりの雰囲気でこういう木だったらいいなあというのがありましたが、新潟のこれまた変わったフローリング屋さんアンドウッドの遠藤さんがちょうどジャトバという木があってね・・・と紹介してくれたおかげで実にいい質感の家になっています。
壁も珪藻土、天井はエコフリース、既存建具をFarrow&Ballで塗装し金物は真鍮に取り換え、既存靴箱やキッチン収納を扉だけラワンに変えるなど解体せずに既存を使うがその既存の質をうまくあげる手法がよくはまってるなあと感じます。

でもまあ、そうした質感になっていったのも奥様のそういう質感がほんとに好きでそういう家にしたいんです・・・という気持ちがひしひし伝わってきたのでなんとかそういう家にしたい!と思ったからかなあと。
単純な人間なので自分がいいなあと思ってる世界観をいいなあと思ってくれてる人のためにはなんとかしたいなあとなるんですよねえ。

で、現場でもいろいろあって大変でしたが、できあがって暮らしがはじまった家を見たときにほんとにお二人の雰囲気になっていて素敵だなあ、がんばってよかったなあと思ったもんです。
住まい手らしい家に出会えるのって、この仕事をしていてほんとに嬉しい瞬間だったりするので、おふたりの素敵な雰囲気が家にそのままあらわれている、人となりがでてる家ってやっぱ素敵だなあと思ったもんですねえ。