「南あわじの家」

延床:98㎡ 木造平屋建て

施工:総合建築植田

床:和栗無垢、コルクタイル 

壁:漆喰(植田仕様)、クロス、タイル 

天井:杉、クロス

総合建築植田の仕事

家づくりに大切なことってなんでしょうか?と言われたらもちろん設計の技術ですと言いたいところですがつくってくれる人が誰であるかも大切です。
そういうことに気づかせてくれたのが植田さんの仕事かと思いますが、いい職人につくってもらう家ってこんなに素晴らしいんだなあとつくづく思った仕事ではあります。

まず、使ってる木は土佐材ですが見ただけで良質な材であることがよくよく分かります。
あかい工房さんも同じく土佐材を使われてますが、木の家をしっかりとつくってる工務店のつながりってこういったどこに出てくるんだなあと思いつつ。


また、普段は手刻みもされてるので込栓が入っていたり。数値だけではない建物の強度ってあるかと思いますが、土佐材も中温乾燥程度のものであるし何十年と時間が経った時に木がその強度を保ってくれるかどうかは大事なことに感じます。

見えないところにも気を配り手を抜かず仕事をすることって当たり前のようで難しいことですが、材料に対しての考えもそうであるし現場の床などもいつもきれい、道具も整理整頓されていて美しいです。


そして、私は自分で枠回りを塗装するので木の表情がよく分かるのですが、岡部さんという大工さん、ほんとに仕事がきれいです。
今回枠は杉を使いましたが、カンナ掛け、面取り、やすり掛けなど、杉自体は安い素材ですがその表情がなんとも美しくなっていきます。

「自分はここまでしたいというラインがあるなあ。」と言われてましたが、腕のいい大工さんってかっこいいよな・・・と塗装しながら美しい杉の枠を見てひとり思ったりしてます。


そして、岡部さんの質の高い仕事を引き継いで左官チームがやってきます。
今回は黄土を混ぜてもらい抑えで塗ってもらってますが、ほんとに手際がよくて見てて気持ちいいです。
ほんと穏やかで温かい壁で・・・これは体感しないと分からないと思いますが長い時間いると気持ちがなんとも落ち着きます。

おもしろい家っていいもんだなと学生の頃とか思ったりしますが、その頃にこういった職人の世界に触れる機会ってないのでそうなってしまうのかもしれません。
おもしろい家もいいんだけど、こうして丁寧につくられた家って居心地がいいし贅沢なものだなあとこの頃思います。
小手先でできる仕事ではないので実際の空間で感じる奥行が違うんですよねえ。


こうした奥行を見てまた私自身も設計で使えるものの幅が広がっていくもんです。
でもまあ技術が高くなっていくと、誰もできない特殊な仕上げとか、木も変わった使い方とか、そういう世界は他と違ってるものですごいな、かっこいいなとなりがちですが、植田さんのすごいところはそうした腕自慢といった感じがまったくなくて、ただただ材料に素直に向き合い、反復された技術によりふつうのものでも美しくなっていくところがいいなあと思ってます。

もちろん、技術の高い仕事もされてるのですが、目立ちたくてという感じがなくてただ仕事が好きなのでおもしろいものもできるという人としての幅がすごいです。
総合建築植田のみなさんと関わったことがある人は分かると思いますが、ほんとに気持ちい職人さんばかりです・・・最後は人としてのふるまいでこうした仕事がうまれてるんだなあと思いますが私には足りない部分ではあるのでやはり作り手って大事なんだと思いますわねえ。