そうだ、本が好きだったのだった
本は人生のおやつです!!というお店が朝来にあるのですが、前々から朝来にそういう本屋さんがあるんだなあ・・・と気になってました。現地調査も終わって帰りに時間少しあるし寄れるかなあと思いふらっとお店にいったところ、そこはまさに本好きの方がされてるんだろうなあという空間がひろがっていてほんとに自分が好きな本が並んでるんだろうなあという雰囲気の選書、あたたかな人柄がそのまま現れた空間、最近こどもたちと遊ぶ時間が長くて本を読む時間や本屋さんに行くことがなくなってたけども、そうだ、本が好きだったなあなんて古本屋によく行ってた頃を思い出しました。
といっても私は別にそこまで本オタクというわけではないですが、あまり(だいぶ?)社交的なほうではないので人とたくさん話するよりかは文章と向き合うことが好きであったし、本には新しい世界をいろいろ見せてもらい人生の糧になってたなあなんて思いつつ。好きな作家さんの名前の本とかがちらっと見えたりするとなんだか嬉しくなるもんで、ああ、やっぱり本屋さんっていいよなあと。
お店の方と少し話をさせていただいたらこの本がとても素敵ですよとおすすめしてもらい、ちらっと立ち読みしたら文章から内省的なそして美しい感覚が立ち上がってきている本を発見・・・もう一冊気に入った詩集も購入しましたがどちらも奥山さんという方が翻訳をされていてまあ美しいことばを紡がれるのですっかり心奪われてしまいました。
内省と無為のあいだに美が生まれるとどなたかが言ってましたが、紡がれた世界観ってまさにそういった感じで、ことばは正直とても難しいものを使われてるので読めない・・・なんていうとこもありますがそのことばに至る真摯な過程、またそうした難しい言葉を使っているのに実に自然と読めるというところがありここまで考え抜かれてるものを見せられると感動的です。
建物を考えてるとき、ふとあの時の景色や、あの時の音、匂い、そして光、色、好きだったものを思い浮かべて設計してることがしばしばです。おじいちゃんのお墓から見えるりんご畑の先にひろがる天竜川やアルプスの風景、北欧でみて感じたあの静謐で澄んだ空気感、個人に蓄積されたものって表現に自然と現れるものだと感じてます。そんなよかったなあと感じたことをきちんと設計に表現できる日はいつだろう、長い道のりだろうなあとも思いますが、ただこの本がそばにいてくれることでいつかそんな世界観もみれるのではないかと思える気がして・・・とても大切な本に出会えてほんとに嬉しいです。
この本が与えてくれた時間や素敵な感覚、それをまたいい建物にするために還元できたらなあと思いますねえ。