空気感

毎日図面と向き合いつつ、ひとつひとつ戻っては考え、また戻っては考えることをしながら何度も繰り返し考えたのちに、ああ、よくなったなあ・・・この感じで住んでもらえたら居心地よく暮らしてもらえるだろうなあと日々感じています。
今日はとても貴重な経験ができて、設計事務所の家がどうして少し違った空気感があるのか、最近間取り図をチェックするサービスなどもあるけれどただの平面図からどうして空気感があるものが立ち上がってくるのかということを感覚でよく感じることができてとても有意義な時間を過ごすことができました。
個人の事務所に仕事を頼むことの意味合いは、やはり設計者の感覚を頼りにするという点に意味があるのかなと感じます。もちろん、クライアントの好みを反映したいなと思うのでいろいろな写真をみてもらったり話をしたりしながらその人に会った家にしたいと考えて仕事をしていくわけですが、図面に落としていくうえで設計者それぞれの納まりの好みや、選定する材料の質感にその人の感覚がなんとなく反映されてるもんだなあと思います。
私たちは図面をものすごく長い時間をかけて行ったり来たりしながら建具枠ひとつとっても寸法が105が120になり、やっぱり125だななんていろいろな条件がきちんと解けるとこまで繰り返し考えていくわけです。図面にそういった旅をするような感覚が知らず知らず落ちていくものですが、その時間が図面にないとこんなにも空気感が違うのかと・・・頑張って考えてるわけでもなくよくなっていくことが楽しいから時間をかけて考えているわけですが、そうした時間って無駄でなかったんだなあと感じることができてとても嬉しい気持ちになりました。
いい窓をつくるためにできること、部屋に重心ができるためにできること、素材の良さをいかすためにどういった寸法を扱えば適切なのか、ほんとにいろいろな技術や感覚がそれぞれの設計者にはあって、そのいろいろを間接的に教えてくれた先達の方々やまたは自然の移り変わりによって感じたことなどいい設計ができる素地がほんと少しずつ蓄積され現れてきているのかなあと感じます。
今計画している家、どれも時間をかけて練った図面なのでものすごく楽しみなんですが、住み始めてああ、なんだかいい空気感の家だなあと思ってもらえたらなによりだなあと思いますわねえ。