

「新神戸の家」
延床:113㎡ RC造3階建て
施工:新野工務店
床:オーク幅広3層フローリング(高正)、チーク、
ウールカーペット、畳
壁:砂漆喰、タイル
天井:チーク小幅板、捨て張り合板表し
①
バウハウス言うてたけど
BOW HOUSE
別に深い意味はないんですけど、語呂がよかったのでだじゃれを言ってみました。
この家、古いRCの3階建ての中古戸建で、設計者は当時の新建築にも名前が載ってた方でした。(確認申請の設計者の名前を調べたらでてきたという)同時代でいうと吉村順三さんや西山夘三さんとか。建築家っぽい人が建てたものなのでわりとつくりがおもしろい建物なわけですが、そんな物件がほぼ土地の価格で売ってるもんだからRCなんて100年くらい持つわけだしラッキーなもんです。
まあそういったお得さ加減よりもなんといっても3階レベルでの神戸の景色の見え方が素晴らしすぎて・・・工事中何度も見た景色ですが毎回すごいなあと思ったもんです。。



ちなみに、なぜにバウハウス感?なんですが、当時の設計者の方が遠い異国の地の新しい建築にあこがれを持ってつくった感覚が家にあって、コルビジェとかも好きだったんだろうなあと思いつつ、今のように情報が簡単に手に入る時代ではないので建物に漂う憧れみたいなものが印象的でした。
でもまあ、年数も経ってるので改装もされていて雰囲気も変わってたりもするところもあり、なんとなくその憧れの気持ちを引き継いで当時思いを馳せていた感覚で自分もつくってみたいな、そんなことを思ってました。

後は、いつも通りというかお客さんの人となりって出てくるのでその感覚にも身を委ねていますが、結構空間が出来上がってくるたびにどうかなあを考えながら現場で考えていったところはあります。
気づけば、あまりバウハウス関係なくなっていてこういう家だと心地よく暮らしてもらえるかなあで組み上げていきましたが・・・できあがった家、とっても居心地よくて変に考えが引っ張られなくてよかったなあと。


ちなみにですが、この家でちょっと挑戦してみたかったこととして、クロス工事を無くしてみました。
その代わりに左官で砂漆喰をあちらこちら塗っています。自分が一体どこまでいけるのか試してみたかったのでしてみましたが、なかなか大変だった・・・(フローリング張や天井板張り、大工工事もだいぶしているし・・・)
でもまあ気づきもあって、設計施工であることの意味合いが強く出てるなあと思ってます。設計施工といってもほんとに自分が個人的な感覚でしていることなので、自分で図面を描き、現場でその状況を見つつ、自分で左官をする。頭から手までが乖離してないのでできることだなと感じています。
なので、引っ越してからの方が素敵な暮らしぶりだったんですが、それは打合せをお客さんの家でさせてもらい、お茶でも飲みながらいろいろな話をして、どういうものを持ってるかも知っているし、また新しい家ではどういったものを使いたいかもよくよく知っている。
相手のことをよく知ってるからこそ図面も描けるし、またお二人のためなら階段ホールも左官塗ろうかな・・・みたいな感覚にもなるという。
世の中、大手の方が安心みたいな人たちもいるんだけど、自分はやはり人と人との付き合いでしかないなと思ってるので、個人で設計事務所をしていること、とことん付き合いますよという感覚を大事にしているので空間もここまで費用対効果高く振り切れるのかなと感じています。



で、とにかく長い時間現場にいるのはうちの特徴かなあ。設計のうまい人ってたくさんいて図面の中を何度も歩き回ってほんとに暮らしを体感しつつ、想像して家を組み上げていく感じってあるんだけれど自分は頭で状況を考えもするけど単純に現場にいるという・・・
なので光と影を正確につかめるというか、この1階の持ってる空気感ってここにいないとできないものだなあとも感じてます。おそらく机上の設計だと読み切れないだろうなあと。
なので、気分的にはバウハウス言うてたけどBOWHOUSEです。
この家の住人であるワンちゃんたちが家にやってきたとき、楽しそうに家の中をうろうろしていて、ああ、身体でこの家を感じ取ってくれてるんだなあと。
設計もそうで理屈うんぬんかんぬん言ってるばかりでなく、ただその場に身を委ねつつ考えて心地よさを考えること。なので最初はバウハウスに憧れを馳せると理屈っぽくスタートしつつ、当時の家具を置いてみたりいろんな経過を経たのちにあとは純粋に自分の身体でいいなあと思う方向に流れていくという。そんな経過をもってつくってみた家なのかもしれません。
(ただのダジャレをうまいことまとめようかと思ったけど、無理がありますなあ)



とかなんとか言いつつ、一番は住み手のお二人に興味があったという感じかもしれません。
同じような何かをつくる仕事の中で、住まい手のお二人はこういうものをつくれるのか・・・が大前提にあったので、まあその感覚には応えたいという点があったというか。
そういったお客さんの感覚に答えたいという感じで無理して頑張るので終わった時にだいたい体調崩すんですけど今回は1週間くらい体調悪かったなあ。
と、どんどん話逸れていってしまうのが私の特徴でもあるので、そろそろ文章書くの終わろうかなあですが、とりあえず下のほうにスクロールしてもらったら住み手と撮った写真があって、私とっても楽しそうにしてると思うんですけどなんか楽しかった感じですねえ。まあ、家づくりって小難しいことは置いといて、こういう雰囲気だったらなによりだなと思いますわねえ。









